スワロフスキー(SWAROVSKI)は、クリスタルガラスの製造メーカーとして日本でも有名なブランドです。
一方、プレシオサ(PRECIOSA)は、まだ日本ではなじみが薄く、名前を知らない方も多いのではないでしょうか。
実は、スワロフスキーとプレシオサは、ともに人気のあるクリスタルガラスの製造メーカーなのです。
今回は、スワロフスキーとプレシオサに注目してその違いについて解説したいと思います。
まずは、スワロフスキーとプレシオサに共通する素材である、クリスタルガラスについて少し解説しましょう。
クリスタルガラスって何?
クリスタルとは、水晶やそれを含む鉱物の結晶を指します。
水晶は自然界がつくる氷の結晶のような外見の美しい鉱物です。
つまり、クリスタルガラスとは「クリスタルのように光り輝く、透明度の高い高品質なガラス」という意味になるでしょう。
それでは、最高品質のクリスタルガラスを作るスワロフスキー社について見ていきましょう!
スワロフスキー(SWAROVSKI)とは?
スワロフスキー社はクリスタルガラスを使ったジュエリーやオブジェ・ウォッチを製造・販売、様々なブランドとコラボを手掛ける世界的に有名なプレミアムクリスタルガラスブランドです。
日本においても販売店舗が多く、高級なクリスタルガラスブランドとしてとても人気があります。
スワロフスキーの歴史
スワロフスキー社はオーストリアに本社を置くブランドガラスメーカーの老舗で、創業者のダニエル・スワロフスキー(1862-1956)はもともとチェコの伝統産業の一つであるボヘミアンガラスの工芸職人の息子でした。
大人になった彼は、「誰もが手にすることができるダイヤモンド」を作る!という夢を抱き、クリスタルガラスを精密にカットできる電動機械を発明しました。
この発明によって今までの手作業に比べ1万倍もの速度でのカットストーンの生産が可能になり、彼は大成功をおさめます。
そして1893年、カット製法の秘密を守るために、アルプス山脈のオーストリアのチロル地方に移住・スワロフスキー本社と工場を建設します。
彼の亡き後は現在に至るまでスワロフスキー家が代々事業を受け継いています。
1995年にはスワロフスキー社は創業100周年を記念して『スワロフスキー・クリスタルワールド』というスワロフスキーで埋め尽くした世界を表現した博物館をオープンしました。
鏡の水の上に輝くクリスタルの雲や輝く不思議の部屋、様々なジュエリーやフィギュリンなどを展示、販売しています。観光地としても有名でオーストリアに行く機会があったらぜひ訪れたい場所です。
スワロフスキーが資材ビジネスから撤退
現在に至るまでスワロフスキーは資材の販売にも積極的に参入し、ネイル、ビーズ、ハンドメイド、ダンス衣装といった様々な業界で幅広く利用されていました。
しかし2021年に大規模な変革プログラムに着手し、スワロフスキー・クリスタルを提供する小売り事業、DIY・資材ビジネスから撤退することが決定しました。
日本国内では貴和製作所のみがスワロフスキー製の資材を継続して販売する許可がおりましたが、それを「スワロフスキー製」ということは出来ません。
…というわけでスワロフスキーが資材ビジネスから撤退すると同時に注目を浴びたのが以前からクオリティが同じくらい高いのでは…といわれていたプレシオサです。
早速プレシオサ(PRECIOSA)について見ていきましょう!
プレシオサ(PRECIOSA)とは?
プレシオサ(PRECIOSA)はチェコのボヘミア地方で最も有名な 「高品質クリスタルジュエリー・オブジェ」の会社です。
プレシオサという言葉は「貴重な、まれな、上品な」を意味するラテン語の形容詞preciousに由来します。
独自の製法と加工法によるカッティング技術、クリスタルガラスの製造技術を生かし、最近ではラインストーンをはじめ、ビーズ・ペンダントトップ・ボタンといったアクセサリー製品の製造も積極的に行っています。
日本ではスワロフスキー社のブランド戦略が圧倒しているのでプレシオサはまだそこまで知られていませんが、欧州では非常に有名で、古くはヴェルサイユ宮殿や高級百貨店、ファッションに留まらずネイルやホテルの装飾など幅広く手掛けています。
プレシオサの品質は非常に高く、スワロフスキーと比べても遜色はありません。
「カラー・ビーズのバリエーション」があり「スワロフスキーよりもややリーズナブル」この2点がプレシオサの大きな利点です。
プレシオサの歴史
チェコのボヘミアンガラスの歴史は古く13世紀に遡ります。1376年にチェコのヴィソケ・ナド・イゼロウ市にガラス工芸の窯が発明されたのを皮切りにガラス製造の技術は広がり、中世の貴族文化でその芸術性が花ひらきます。
1548年には職人らが資材を持ち寄って最初のガラス工場を作り、それと同時期にヴェネツィアよりガラス技術が持ち込まれ、徐々に広がっていきました。
17世紀頃からは独自の工法が編み出されだんだんとヨーロッパ市場で名が知られ始めます。
1711年にはプレシオサ社の伝統と遺産のルーツであるボヘミアンクリスタルが誕生しました。
当時ガラス職人として名を馳せたFiser 兄弟が、ガラスのカッティング・磨き上げの技術を北ボヘミアに持ち込み、1724年にプラーヘン市 にてクリスタル製シャンデリアの大量生産と輸出を目的とした最初の工場が出来上がりました。これがプレシオサ社の始まりとなります。
1725年にチェコのシャンデリアは、フランスの王、ルイ15世に注文を受け、ヴェルサイユ宮殿に使用されているほか、オスマン帝国国王3世、ロシアのエリザヴェータ女王らが注文したと伝えられています。
この頃になるとボヘミアンクリスタル製のジュエリーやガラスが世界に向けて販売されるようになります。
20世紀初頭にはストーンの複雑なカッティング、研磨技術や、ビーズ、シャンデリア装飾といった分野にも進出をはじめ、1945年に7つの主要ガラス工場が提携を結び、プレシオサ・グループが結成されました。
プレシオサの特徴
プレシオサ・クリスタルは、通常のクリスタル・ガラスより独自の製法と加工法によるカッティング技術、クリスタルガラスの製造技術を生かし繊細なマシンカットや特殊な加工が施されています。
そのため、通常のクリスタルカット製品でも、光の反射加減により虹色に見える効果があり、これがプレシオサ・クリスタルの魅力、真価と言えます。
プレシオサは、独自の製法と加工法によるカッティング技術で作られた製品、ラインストーン、ビーズなどアクセサリー商品に力を入れています。
スワロフスキーと比較してもガラスの成分構成はほぼ変わらず、比べてもほとんど違いはわかりません。
一般的にはプレシオサの方が色が濃く、落ち着いた色合いであるといわれています。
プレシオサのストーンについて
スワロフスキーやプレシオサのストーンは模造宝石です。
天然宝石に近づけるため、ストーンの裏に特殊なフォイルを使用してダイヤモンドに近い輝きを作ります。
また、ストーンのカットは天然宝石でさえも輝きが左右されるほど繊細です。もちろん模造宝石にも計算されたカットが必要となります。
プレシオサは商品展開として下位ランクと上位ランクの2種類があります。
VIVA12(下位ランク)
サイズはss5~48まであり438‐11‐612番と呼ばれています。スワロフスキーの品番になれている方は、品番が長くて覚えにくい…と思ってしまうかもしれません。
お値段は上位ランクと呼ばれるMAXIMAよりもお手頃です。
カットの角度と面数は全て12面なので大きいサイズになるほど、輝きが控えめな印象です。
VIVAとVIVA12の2種類がありますが、どちらも同じカット面数(12面)ですがVIVA12のほうがカットが鋭くなっているので、より角度がつき輝きが強くなっています。
MAXIMA(上位ランク)
ss2,3 438‐11‐612番 12面(VIVA12と同じカット)
ss5~20 438‐11‐615番 15面
ss30~ 438‐11‐618 18面
プレシオサにはss2があります。
くしゃみをしたら全部飛んでいってしまいそうな小ささですが、ss2があるのは、デコをしている方なら心強いと思います。
そしてss3のスワロフスキーが8面カットだったのに対してプレシオサは12面カットです。
ss3は、輝きも美しく、極小ストーンは圧倒的にプレシオサの方が美しいと思います。
カット数が増えていき、ss5-20は15面となります。
スワロフスキーではss12から2088番が16面カットだったので、面数だけで見ると1面少ないですが、実際に見るとスワロフスキーに匹敵する輝きです。
MAXIMAのフォイルは通常より耐久性のあるD-FOILEDを使用しています。
ss2~ss9はMAXIMAの細かいカット部分が放射状に繊細に輝きます。
セリジエプラスでは今までは全ての商品をスワロフスキーのストーンにて製作しておりました。
今後は商品のクオリティを維持するために全ての商品をプレシオサの上位ランクであるMAXIMAにて製作致します。
プレシオサにしかないカラーバリエーションもあることと、プレシオサのブランディング力が強くなってきていることを踏まえると、可能性の広がりを感じることができ大変楽しみです!