プロのクリスタルデコレーターが見た「今から使うべきストーン」とは

ハンドメイド愛好家のためのスワロフスキークリスタル終了の真相

2021年、ファッションとデザイン業界に大きな衝撃が走りました。
精密にカットされた美しいクリスタルで知られるオーストリアの有名企業、スワロフスキーが、新しいクリスタルビーズやストーンの生産をその年の9月をもって停止することを発表したのです。

このニュースは、多くのハンドメイド愛好家やデザイナーにとって大きな打撃となりました。

セリジエでも創業当時からスワロフスキーをずっと利用していたため、そのニュースを卸業者さんから聞いたときは、「これからどうしよう」と頭を抱えたのを覚えています。

ではこの背景には何があったのか、私たちが知っている限りでお話をしていきますね。





スワロフスキーの戦略的シフト

スワロフスキー社は2021年初頭に製品戦略を大幅に見直しました。
それまでスワロフスキーといえば「高級クリスタルガラス」のブランドのイメージはありましたが、
同時に比較的手にとりやすいイメージがありました。
そのブランディングイメージは、幅広い顧客層に対応できる強みはありましたが、スワロフスキーの高級なブランドイメージを低下させる要因にもなっていました。

2021年、CEOのロバート・ブッハウアーは、コロナ化で業績が著しく悪化していたにも関わらず、
1895年に設立されたブランドの遺産を守るために、プレミアム製品とオリジナリティあるデザインに重点を置き、ラインストーンやその他のクリスタル装飾品などのさまざまなアイテムの供給停止を発表しました。
この決定は、低利益の商品を大量に販売する戦略から、販売頻度は低くても高利益のアイテムに焦点を移す会社の戦略にシフトしたためと言われています。

スワロフスキー社が、クリスタル製品を一部の高級ブランドにのみ供給することを決定したことにより、
私たちのようなデコアート業界をはじめ、ダンス、コスチュームデザイン、ネイルアート業界やアーティスト・クリエイターは大きな影響を受けました。

これは私たちのしているデコアートは「スワロフスキー」に付随しているアートワークだった、
という大きな気づきとともに、私たちの「デコアート」の価値を見直す転機にもなりました。

スワロフスキーストーンは今も手に入るの?


その後、ビーズやストーンへのアクセスは、スワロフスキーと正式な契約を結んだ大手コラボレーターや有名デザイナーに限定されることとなりました。

日本では唯一のディストリビューターとして株式会社貴和製作所がスワロフスキー社のクリスタルを再販するための認定販売パートナーとなっています。

貴和製作所で販売しているクリスタルストーンは「貴和クリスタル」という名前にカタチを変え、「オーストリアのメーカーで生産されている高い品質のクリスタルガラス」としてその起源を証明しつつスワロフスキーの名前を直接利用しない形での販売が義務付けられています。

ただ今までのスワロフスキーストーンと同じであることには変わりありません。

まとめると、スワロフスキーのブランドの名前は使えないけれどスワロフスキー社製のストーンは今も手に入る、と言えます。
※「ディストリビューター」とは
製造業者から製品を購入し、それを小売業者または最終消費者に再販売する企業のこと

スワロフスキーの代替品「プレシオサ」

スワロフスキーが使えない!となった私たちは色々なクリスタルを扱う業者やクリエイター、
卸先などと意見交換や情報交換をしました。

様々な意見がありましたが、私たちにとってストーンの透明度と輝きは必須、ここで品質を落とすことはできません。
その結果スワロフスキーとほぼ同クオリティといわれていたチェコ産のプレシオサへのシフトを決めます。

◆カットと仕上げ
スワロフスキークリスタルは、機械による高精度なカット技術と厳しい品質管理によって、完璧な透明度と輝きを実現しています。特に「XILION」カットは、スワロフスキーの代表的な技術です。一方、プレシオサクリスタルも高品質なカットを提供していますが、スワロフスキーに比べて若干劣ると言われることがあります。しかし、プレシオサの「MAXIMA」カットは、その輝きと美しさで高い評価を得ています。

◆カラーバリエーション
スワロフスキーは豊富なカラーバリエーションと特殊コーティング技術を誇ります。これにより、ジュエリーやアートプロジェクトでの多様な表現が可能になります。

プレシオサも多彩なカラーオプションを提供していますが、スワロフスキーほどの種類はありません。それでも、プレシオサのカラーバリエーションは充分に豊富で、多くのデザイナーに愛されています。

◆価格
スワロフスキーはそのブランド力と品質の高さから、プレシオサよりも高価です。高級感とステータスを求める顧客には最適ですが、コストパフォーマンスを重視するプロジェクトには負担が大きくなることもあります。

プレシオサはスワロフスキーに比べて比較的安価でありながら、十分な品質を提供しています。そのため、予算を抑えつつも高品質なクリスタルを求める方におすすめです。

◆環境への配慮
スワロフスキーは、持続可能な製品開発と環境保護への取り組みを強化しています。再生可能エネルギーの使用や、環境に優しい製品の開発に力を入れています。

プレシオサも環境保護に力を入れており、エコフレンドリーな製造プロセスを採用しています。特に、鉛を含まないクリスタルの製造に注力しています。

◆まとめ
スワロフスキーとプレシオサ、どちらも素晴らしいクリスタルブランドですが、その選択はプロジェクトのニーズや予算、そして個人の好みによって異なります。
スワロフスキーの完璧な輝きと高級感を求めるならスワロフスキーを、コストパフォーマンスを重視しながらも高品質なクリスタルを求めるならプレシオサを選ぶのをおすすめします。

実際に私たちがプレシオサを3年間利用した感想とセリジエの今後の動きについては次回お話しますね♪


    
                   

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